結婚って何だろう?

 
昨日、国勢調査で人口減少が確認された、という発表があった。 
外国人が入ってくる増加分を含めても社会人口が減少している訳で、日本はこれから本格的な人口減少社会を迎える。
 
一般に想像されている以上に人口減少がもたらす影響は大きい。
これまで右肩上がりだったものが、右肩下がりになる訳だから、天地がひっくり返るようなものだ。
これは歴史的なターニングポイントだと早く気付くべきだ。
 
 
そしてもうひとつ確実に言える事は、「人口減少はこれからも続く」ということだ。
最終的には今の首都圏並み、やがて出生率1.0を下回る程度までいくのでは?と思っている。
 
成熟化の中でライフスタイルが急速に変化していることもあるが、政府が正しい対策が打てていないことが最大の原因と言っていい。世の中が変わるのは当たり前であって、例えどんな社会でも「子供を生みたい」という気持ちが持てるか、「生んでも大丈夫だ」という安心感が作れるかは、やはり「政策」に拠るところが大きいからだ。
 
 
年金や財政問題などを考えると影響が大き過ぎて、事実を認めてしまうと大変なことになる
だから今回も「一時的な現象で、やがて増加に転じる」など、ふざけた希望的観測を出すかもしれない。できるだけ楽観的に考たくもなるのだろうが、それが思い切った対策ができない原因にもなっている。
人口減少=少子化がどういう結果をもたらすのか、イマジネーションが本当に足りないのか、見て見ぬ振りをしているのかは分からない。ただ政府はまだこの問題に正面から向き合おうとしていないことは確かだ。
 
政府は来年度から「児童手当の拡充」という名目でタバコの増税に踏み切るが、「手当てを拡充しよう」とか「保育所を増やそう」という程度の発想しかない。しかしこんなものは’94年からやってる「エンゼルプラン」の延長上の話だ。
託児所が無いから子供を生まないのだろうか? いつまで出るか分からない、わずかな児童手当を期待して子供を生む親がどれだけいるだろうか?
その程度で片付く問題ならとっくに終わっている。 
 
 
生活感覚で考えてみて欲しい。
今の時代、コンビニもファーストフードもあるから、男は別に結婚しなくても食べるには困らない。
コインランドリーもクリーニング屋もある。蛇口をひねれば風呂はずぐに沸かせる。
雑誌やインターネットには女性の裸が溢れ、お金さえ出せばHなレンタルビデオも性風俗も思いのままだ。日本ほど性が簡単に手に入る国はない。これで感覚が麻痺しない方がおかしいだろう。
また女性にとっても同じで働く場所はたくさんある。今や結婚という永久就職をしなくても、経済的には別に困らない。欲しいモノだってたくさんある。結婚して経済的に不自由になる位なら独身を楽しんだ方がいい、と考える人が増えるのは当然だと思う。これだけ社会が寛容になれば、性的欲求だって別に困らない。
 
そう、男も女も今や結婚しなくても別に困らない。
昔と違って、少なくとも生活する上で「結婚」は不可欠なものではなくなっている。 
人がどんどん賢くなって、社会が豊かになって、選択肢が増えるから、逆に結婚が難しくなる。
 
特に怖いと思うのは、これから適齢期を迎える若い女性は「面倒なこと」を極端に嫌うことだ。
経済的な負担を考えると子供は欲しくない、子供を育てるのは面倒と思う人達が確実に増えている。「子供を作る」という動機さえも無くなってしまえば、結婚の意味はいよいよ薄れていく。

こんな事いうと怒られるかもしれないが、「面倒なことを避けたい」と思うのは、それだけ女性が賢くなった証拠だと思う。….悪い意味で。
 
 
恋愛は理想でできるけど、結婚は生活という「現実」である。 

経済問題を抜きに結婚は語れない。

 
ある人は結婚はパートナーとの共同生活だという。でもそういう家庭では家計が夫婦別々だったり、それは結婚しなければ出来ない事なのか? と思ったりもする。
またある人は老後に寂しくなるから、その時の生活保障だという。
….それこそ、結婚の意味をそういうものに見出していいの? と思ったりする。
 
わずかに残る動機は、「世間体」や「(今までの)常識」だけ。
「適齢期になれば結婚するものだ」「結婚しないと"出来ない"人みたいで格好悪い」
そういう想いが結婚を辛うじて支えている気がする。
 
 
少子化問題の本質って、たぶんこういうことだと思う。
別に保育所が少ないから子供を生もうとしない訳じゃないし、ちょっとばかり手当てを出すことで解決するような安易な問題でもない。
 
扶養控除の廃止など、経済的には結婚や出産などを薦めない、と言わんばかりの政策だ。
教育費が高騰し、年収300万円で給料が上がる見込みの無い契約社員が急増しているのは今や社会常識だ。そんな人達が子供を安心して生めるかはちょっと考えたら分かるはず。
財務省は財務省、厚生省は厚生省と、それぞれ「部分最適」ばかりを考えて、普通の生活感覚で全体を考える人がいないからこういうバカげた話になる。
 
こういう本質的な問題に向き合わない限り、少子化はずっと続くだろう。
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