色褪せるソニー

 
「未来予測2006-2020」で、予測を読み違えたことがひとつある。
それはソニーの動向だ。
 
ソニーは、エレクトロニクス「メーカー」と呼ばれる中で、21世紀に世界で勝負できる唯一の企業だ。
グローバルな感覚、とんがった感性を持った人材、ソフトとハードを融合させたビジネスモデル、世界に通用するブランド力…..。
21世紀ビジネスに挑戦するために必要な全てが揃っている。
 
…..と思った。
 
…..だがもうあきまへん。
 
 
ソニーは今や、普通のサラリーマン企業に成り下がってしまった。
 
リスクを恐れて、思い切った戦略がとれない会社になってしまった。
株主の目ばかりを気にして、自分達が何をめざすべきかさえ説明できない。
MBAが集まると会社が腐る、という典型だ。
 
リチウムイオンバッテリーの不具合とか、そんな瑣末(?)な話はどうでもいいこと。
 
全ての戦略が「守り」に、そして「後手」になっている。
そういう体質が、魅力ある商品、孤高の商品を出せなくなっている。
それが一番の問題。
 
そして、ユーザーがそれを一番敏感に感じ取っている。
 
 
…… 違う?
 
じゃあ、最近何か魅力的な商品を出したかい?
 
「BRAVIA」は他の液晶テレビと何が違うんだい?
プレイステーション3だって、出井さんの時代に企画されたものじゃないの?
 
それをリスクを恐れて、あんな値付けで出したらやる前からコケるのは目に見えてる。
しかも、マーケティング戦略は無いに等しい…タイトルは揃わない…..生産体制はボロボロ。
それで「ラウンチ失敗」だと大騒ぎして、久夛良木さんを潰してるのだから目も当てられない。
 
既に後戻りできない道なのに、(株主への言い訳のために)一生懸命後戻りしようとしている。
 
 
プレイステーション3の戦略には、「思想」が感じられない。
プレイステーション2では、確かに一人のまとまった考え – 久夛良木さんの意思があった。
発売数日で100万台を売るための、詰め将棋のような緻密さが感じられた。
 
それが今はない。
感じられるのは、複数のバラバラに意思だけ。
 
評論家のような人間ばかりが寄り集まって、会議をしている様子。
自分は何もせず、他人の責任ばかりをあげつらって、ギャーギャー騒ぐ様子が目に浮かぶ。
そして出される結論は、各部門のエゴを調整した「妥協の産物」。
 
「経営屋」はいても、「経営者」はいない。
 
…..違うかい?
 
21世紀を担う企業として、ものすごく期待していただけに残念でならない。
 
 
過去、ソニーは偉大な経営者を多く輩出した。
 
【出井伸之】
 
 変革の時代にはルールブレイカーがいる。
 過去の成功体験が変革の障害になる。
 恐いのは今のままでよいと考えてしまうことだ。
 
【井深大】
 
 お客様の満足できる商品を作るのは心の問題。
 モノと心が表裏一体であるという自然な姿を考えることが近代科学のバラダイムを破るキーポイント。
 こういうバラダイムシフトが、ヒトの心を満足させることを考えないとソニーは21世紀に通用しない。
 人間の心に響くことが第一義。
 近代科学は道を踏み外した。大きさや納期、売上とかの話ではない。
 
 
今のソニーに「変革」を感じたり、「心に響く商品」なんてあるだろうか?
 
もう一度『原点』を思い出して欲しいと切に願う。
 
 
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