悪のヒーロー

 
今日、村上代表の逮捕が決まった。
テレビは昼からそのニュースで持ちきりだ。
 
僕は村上さんに実際には会ったことはないけど、この人の性格は容易に想像できる。
たぶん官僚出身の人に多いタイプで、青臭いほどの正義感を持った人なんだろうな….。「この国を変えてやるっ!」みたいな理想家。きっとすごく真っ直ぐな人だと思う。
 
なぜって? この人の目には腹黒さがないから。騙し・騙されを続けてきた猜疑心に満ちた、金・金の世界の人の目じゃない。
思い込みが激しくて、ちょっとイッちゃっている気はするけど….。(笑)
 
 
好き嫌いはともかく、僕はこんな人はアリで今の世の中に必要だと思う。だからこんなつまらない事で潰されるのは残念でならない。
 
 
日本の世の中は、改めて「妬み社会」だなぁと思った。日本では「悪のヒーロー」は生まれないんだろうな。
 
ハッキリ言って、この程度の(?)インサイダーをあげてたらキリがない。
駐車違反を一度もしたことが無いドライバーなんているか? 交通の流れに乗ったら絶対に守れないような制限速度、一度も破った事無い人いるの?
前にも書いたが日本の法律はグレーゾーンが大きい。いわば「おめこぼし」を前提としたシステムで、当局の恣意で誰でも犯罪者になる。
 
村上さんが捕まったのは、「目立ち過ぎた」からに他ならない。
 
「働かないで大儲けするヤツはけしからんっ! 」という大衆の妬み。
それに迎合しようとする政府/特捜部の人気取りや功名心。
 
東京地検特捜部長に就任した大鶴氏は、記者会見で、「国民が『こういうことがまかり通っていいのか』と憤慨するような事案を摘発していきたい」と抱負を語っていたらしい。
「正義のヒーロー」気取りも分からないでもないし、「自分の任期中に目立つ事件を摘発して名を残したい」という功名心も無い訳じゃないだろう。
 
ただ必要悪という言葉があるように、正論がいつも正しいとは限らない。
「正義のヒーロー」は青臭いだけにタチが悪い。
 
 
僕は村上さんは好きではないし、友達には絶対持ちたくないタイプだ。
でも、これだけ日本の経営者の意識を変えた人はいない、とは思う。
経済がグローバル化する中、株主の権利というものに世に目覚めさせ、自分が悪者になる事を恐れず、日本経営のリスクを分かりやすい形で世に知らしめた。その功績は本当に大きい。
見方を変えれば、日本の経営を近代化(?)させた最大の功労者とも言える。
 
 
たぶん多くの人はニュースを見て、「ざまみろ!」「天罰だ!」とか言い出し、喝采を叫ぶだろう。
村上さんを弁護しても新聞や雑誌は売れない。だからそういう論調になる。
 
そういうメディアの論調に乗せられて、インサイダーの意味もロクに分からない人達が、村上=犯罪者呼ばわりして袋ダタキにする。彼の「功」を忘れて、実は自分達のクビを絞めていることにすら気づかない。村上さんみたいのが存在しなければ、株主軽視でまた配当率0.x%の世界に逆戻りするかもしれないのに。
 
こんな人をちょっとした取引ミス(?)で失うのはあまりに惜しい。
彼が個人的に儲けているかどうかなんてどうでもいい話で、そんな「妬み」なんて下らない。
目立てば揚げ足を取られて袋叩きに合う社会なら、改革者なんて出てこなくなる。
 
 
村上さん、今日で引退するという決断は潔かったと思います。
とりあえず、お疲れ様でした。
 
 
 
カテゴリー: エッセイ パーマリンク

コメントを残す