売上のマジック

 
最近感じるのは、「売上の数字って、あてにならないよなぁ…」ということです。
いろんな会社を見ていて、つくづくそう思う。
 
単に売上規模を大きくするだけなら簡単。

例えば金の地金を10億円分仕入れて、1%ディスカウントとかで転売すればいい。
1年間で10回転させれば立派な100億円企業です。(赤字ですけど…)
「私も売上100億円の会社の社長になりたい!」と思ったらすぐなれますよ。
(もっとも最初に資本10億円を用意できるかですが….)
 
でもこんなの誰も「ビジネス」とは呼ばないですよね?
 
 
「何をふざけたことを…」なんて笑ってられませんよ。

ただ仕入れが鉄だったり、或いは原材料だったり、部材だったり、完成品だったり….。
売上100億円、利益-1億円の会社なんて世の中には山ほどある。
本質的には同じ話です。
 
売上足りなければそういうビジネスをくっつければいいんですから。
で外形的には立派な大企業で、利益率-1%でちょっと赤字。
惜しかったね、もうちょっとだね~という会社に見えます。
 
日本の大メーカーでさえ経常利益は平均2-3%。

結果だけ見れば紙一重の違いでしかない。
 
 
 
売上には、「意味のある売上」と「意味の無い売上」がある。
 
「意味の無い売上」というのは「仕入れ」です。
そこには会社としての付加価値は全くない数字ですし、膨らまそうと思えば幾らでもできる。
「意味のある売上」というのは、売上から仕入原価を引いた「売上総利益」。
僕はこれが会社の本当の売上=実力だと思っています。
 
 
売上総利益(粗利)は、いわば会社が生み出している「付加価値」の総額です。
付加価値というのは、その会社の仕事に対してお客様が認めて支払ってくれた対価。
その企業の存在価値そのものです。
 
で、それを生み出すための人件費だの家賃だのを引いて、きちんとお金が残るかどうか。
付加価値とそれにかかる費用を比べてみて、きちんとバランス取れているか。
 
収支が合ってるなら、「ビジネスやってるね」と社会から認められているという証拠。
逆にいくら頑張ったと言っても、結果としてそれに見合った対価が貰えてないなら…..。
さっきの金の話と同じ、それはビジネスじゃないってことです。
 
 
こんなの言われるまでも無い、ごくごく当たり前のこと。
でも実際に現場はそうなってないんですよ..。
 
そういう構造が分かると、例えば「売上高利益率」の数字とかに余り意味がないの分かると思います。
もし数字で実力見たいなら、[営業利益(残ったお金)/粗利益(付加価値総額)]とかの方がずっと意味があります。
 
 
最近は商社も右から左のビジネスではなくなって、手数料分だけを売上計上する形に変わってきました。
いずれ付加価値分(粗利益)だけを売上としてみよう、という形に大勢が変わってくると思います。
 
 
「意味のある売上」がどれだけあるか?
「意味のある売上」=付加価値を増やすためには何をすればいいか?
付加価値を生み出すもの=本当の企業価値はどこにあるのか?
 
そういう視点から自分の会社を見てみると、違った一面が見えてくると思いますよ。
 
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